シャンシャン
こんにちは。岸田です。本日から上野動物園でシャンシャンの一般公開が始まりました。
生まれたとき147グラムだった体重が半年で12.3キロというから80倍以上の増加。今後もっともっと大きくなるだろうから(メスのパンダは80キロ前後らしい)、500倍以上にはなるのかな。人間だったら大変です。

 さて、障害分野の相談支援の話です。
 障害分野のケアプラン作成の取り組みは、「措置から契約」移行後の障害者自立支援法から始まりました。そのときの対象者は「市町村がサービス等利用計画案の提出を求めた者」でした。平成24年度から障害福祉サービスを利用する全ての人を対象にケアプラン(サービス等利用計画)を作成し、それを基に市町村がサービス支給量を決定するという仕組みが始まり、平成27年度から完全実施されています。今、障害福祉の現場では、相談に従事する相談支援専門員不足が深刻です。福祉現場での人材不足に加えて、相談支援の難しさと相談事業所運営の費用捻出の難しさが原因だと思われます。
 制度設計当初からケアプラン作成(ケアマネージャー配置)を念頭においた介護保険とは違い、障害分野の相談事業(ケアプラン作成)は、やってもやらなくても・・・程度の事業だったのです。
 相談事業については、私自身も「自己決定支援」と「社会につなぐ」という2点においてその重要性を訴えてきた立場でありますが、今の現状をみると「本当にこのまま進めていっていいのか・・・」と不安になります。というのも、私自身が相談事業の肝だと考えているその2点が今の制度のままでは実現しないと思えるからです。
 一番の要因は、相談支援専門員と利用者の方との関わり方と関わる時間の長さの問題です。現在、常勤の相談支援専門員が担当しなければならない利用者数は100名以上です。150名を超える相談員もいると聞きます。そうしないと相談事業所の運営が成り立たないのが現状なのです。そんな中でアドボケイトが何だかんだ言ってもまさに絵に描いた餅です。サービスにつなぐのが精一杯なのです。でも、自己決定とかソーシャルワークって、サービスにつないだ後が重要なんです。なぜなら、サービスは使ってみないとそれが必要かどうか分からないところがあるし、サービス利用自体が社会とのつながりを奪ってしまう危険を孕んでいるという点にも注意が必要だからです。サービスにつなぐのは社会につなぐための一つの手段にすぎません。モニタリング年1、2回・・・なんてありえませんが、これが現状です。相談支援専門員の養成についても位置づけがあいまいです。でも、相談支援に期待するのがサービス調整だけなら今のままでも十分だと思います。制度を変えずに理想論やべき論で相談事業を語ると、今の相談事業は破綻します。誰もできる人がいなくなってしまいます。
 当初、とりあえずで始まった障害分野の相談事業。多くの人が「このままではまずい」と思いながらも「ないよりはあった方が・・・」、あるいは小さく産んで大きく育てればいいかという思いが国や関係者の中にあったのかどうかは知りませんが、今必要なのは相談員のスキルアップなどではなく、現場で働く相談員の声に耳を傾けることです。

 シャンシャンフィーバー、しばらく続くのでしょうね。
 パンダについてはこのまま大きなぬいぐるみぐらいでいてくれたらかわいいのに。